確定拠出年金とは
確定拠出年金とは、拠出された掛金が加入者ごとに明確に区分され、その掛金と運用収益との合計額をもとに将来の年金給付額が決まる年金制度です。公的年金(国民年金・厚生年金)に上乗せする形で、老後資金の準備を目的とした私的年金制度として位置づけられています。
確定拠出年金には、企業が実施する「企業型確定拠出年金」(以下、企業型DC(Defined Contribution))と、加入者個人が加入する「個人型確定拠出年金」(通称:iDeCo)の2種類があります。
従来からある企業年金の代表格である「確定給付企業年金」は、あらかじめ将来受け取る給付額が決まっている(=給付が確定している)制度です。これに対して確定拠出年金は、拠出する掛金額はあらかじめ決まっているものの、将来の給付額は運用成績によって変動する(=拠出が確定している)という点に大きな違いがあります。
確定拠出年金に関する主な用語
拠出
拠出とは、将来の年金給付に充てるために、掛金を積み立てて支払うことをいいます。確定拠出年金では、この拠出された掛金の合計額と運用収益との合計額をもとに、将来の給付額が決まります。
運営管理機関
運営管理機関とは、加入者に対して運用商品の選定・提示や情報提供を行うとともに、加入者ごとの掛金拠出状況や資産残高等を記録・管理する機関です。加入者は、運営管理機関が提示する運用商品(3以上35以下)の中から、自身が運用する商品を選択します。運営管理機関を担うのは、銀行・証券会社・生命保険会社・損害保険会社等が一般的です。
資産管理機関
資産管理機関とは、拠出された掛金や年金資産を管理・保全する機関です。加入者等の年金資産を安全に管理するという重要な役割を担っており、給付の支払いも資産管理機関を通じて行われます。資産管理機関を担うのは、信託銀行等が一般的です。
事業主掛金
事業主掛金とは、企業型DCにおいて事業主(企業)が拠出する掛金をいいます。企業型DCの基本となる掛金であり、拠出限度額の範囲内で企業が定めた金額が拠出されます。
加入者掛金
加入者掛金とは、企業型DCにおいて、企業型年金規約に定めがある場合に、加入者本人が事業主掛金に上乗せして拠出する掛金をいいます。この仕組みはマッチング拠出と呼ばれ、加入者が自らの意思で老後資金の積立額を増やすことができます。なお、iDeCo(個人型DC)では、掛金は加入者本人のみが拠出するため、この用語は用いられず、単に「掛金」と呼ばれます。
運用指図者
運用指図者とは、掛金の拠出は行わず、それまでに積み立てた年金資産の運用のみを行う者をいいます。転職や退職等により加入者資格を喪失した後も、資産を確定拠出年金の口座に残して運用を継続する場合等に、この立場になります。
確定拠出年金の仕組み
確定拠出年金では、拠出された掛金をもとに、加入者自身が運用商品(投資信託・預貯金・保険商品等)を選択し、運用を行います。運営管理機関は、加入者が選択できるよう複数の運用商品を提示しますが、特定の商品を推奨することはできません。
掛金の運用結果は、そのまま将来受け取る年金資産額に反映されます。そのため、運用成績が良ければ受取額が増える一方、運用成績が悪ければ受取額が当初の想定を下回ることもあり、運用は加入者自身の責任のもとで行われる仕組みになっています。
企業型DCと個人型DC(iDeCo)の違い
企業型DC
企業型DCは、掛金を事業主(企業)が拠出する制度です。企業によっては、加入者本人が掛金を上乗せして拠出できる場合(マッチング拠出)もあります。
個人型DC(iDeCo)
iDeCoは、加入者本人が自ら掛金を拠出および運用(または運用のみ)する制度です。実施主体は国民年金基金連合会であり、自営業者・会社員・公務員・専業主婦(夫)など、幅広い層が加入対象となっています。転職や退職等により掛金の拠出を停止した場合に、それまでに積み立てた資産を口座に残し、運用指図者として運用のみを継続することもできます。
確定拠出年金の税制優遇
確定拠出年金には、掛金拠出時・運用期間中・受取時のそれぞれの段階で税制上の優遇措置が設けられています。運用期間中に生じた運用益は非課税で再投資され、受取時には、一時金として受け取る場合は退職所得控除、年金として受け取る場合は公的年金等控除の対象となります。
掛金拠出時の扱いは、企業型DCとiDeCoとで異なります。企業型DCの事業主掛金は、そもそも加入者本人の所得として扱われないため、拠出額に応じて所得税・住民税が課されることはありません。一方、iDeCoの掛金や、企業型DCの加入者掛金(マッチング拠出)は、加入者本人の所得から拠出されるため、その全額が小規模企業共済等掛金控除として所得控除の対象になります。
確定拠出年金を利用する際の注意点
確定拠出年金は、原則として60歳になるまで資産を引き出すことができません。ただし、60歳から受け取るためには、加入していた期間等(通算加入者等期間)が10年以上必要であり、これに満たない場合は、受給が可能となる年齢が61歳、62歳というように繰り下げられます。加入時期が遅いほど、実際に受け取れる年齢も遅くなる点に注意が必要です。
さらに、確定拠出年金は運用商品の選択から運用結果まで、すべて加入者自身の責任のもとで行われる制度です。運用商品によっては元本が保証されないものもあり、将来受け取る年金資産額が拠出した掛金の合計額を下回る可能性もあることを理解しておく必要があります。
まとめ
確定拠出年金は、掛金を拠出する主体の違いによって「企業型DC」と「個人型DC(iDeCo)」に分かれる制度であり、いずれも加入者自身が運用方法を選択し、その結果が将来の給付額に反映される点が共通の特徴です。